入れ歯のお手入れ

口内環境を清潔に保つ

歯科医師

入れ歯ケア

入れ歯は食物を噛み砕く咀嚼、食物を飲みこむ嚥下、会話の発音の機能を補うために使われる、歯科医院などで作ってもらう人工の道具です。 自身の身体もそうなのですが、この道具もしっかりケアしなければ有効活用することはできませんし、下手をしたら身体に悪影響を及ぼすこともあります。 食事が終わったらそのつど洗浄するのがベストなのですが、時には外食をすることもあるでしょうし毎日都合よくいくとは限りません。 でも出来るだけ毎食後に掃除するぞ、という気持ちで、少なくとも1日1回はその機会を持てるように努めましょう。 自分の歯と同じように入れ歯も毎日のお手入れが、長く使っていくために必要です。 手入れを怠ってしまうと口の中だけでなく全身に悪影響を及ぼすこともあるので、決して甘く考えていてはいけません。 しかし自分の歯と同様にお手入れをすると言っても、入れ歯(人工歯)には歯磨き粉の使用は避けてください。 歯磨き粉の中には汚れを落とすために研磨剤が含まれているものが多く、これが入れ歯の表面をすり減らしてしまうことがあるからです。 研磨剤で擦ることによって入れ歯の表面に傷がついてしまい、そこに細菌が発生しやすくなり口臭の原因となることもあります。 また消毒には熱湯の方が効き目がありそうだと、熱いお湯で洗ってから熱湯に漬けるという発想を閃くのも考え自体は悪くはありませんが、 入れ歯に関しては熱によって入れ歯が変形してしまうので悪い方法になります。 入れ歯のお手入れで大切なことは、傷つけないように変形させないようにしつつ、元の清潔な状態を保つことです。

お手入れの流れ

入れ歯の正しいお手入れ方法は、洗面所で水道水を流しながら入れ歯全体を軽くブラッシングして付着したゴミを落とします。 ぬるま湯でも構いませんが、プラスチックを変形させるような熱湯の使用は避けてください。 せいぜい40度くらいのぬるま湯で洗浄しましょう。形状変化してしまうと自分のお口の形に合わなくなってしまいます。 その際手で持って洗うわけですが、うっかり落としてしまうと衝撃で欠けたり割れたりすることもあるので注意しましょう。 心配ならこれを防ぐため、あらかじめ洗面器に水を張って落としても大丈夫な環境を用意してもよいでしょう。 ブラシは普通の歯ブラシでも歯科医院で入手できる入れ歯専用のブラシでも大丈夫ですが、柔らかい毛先の方が傷つけにくいので安心です。 水で洗うだけでは物足りないと歯磨き粉を使うのも、入れ歯を傷つける原因になるのでよくありません。 目に見える食べかすをブラシで取り除いたら、入れ歯についたその他の汚れも順番に落としていきましょう。 プラスチック表面は簡単に磨けますが、バネの境目など磨きにくい箇所もあり、そういった箇所ほど汚れが付着しやすいので意識的に念入りに磨きます。 この隙間を見落としていると食べかすが入った不衛生な入れ歯を使っていくことになり、細菌が繁殖してしまいます。 洗い終わったら再び装着しますが、必要なければ一時保管となります。保管する際は乾燥に注意しましょう。 乾燥によって入れ歯が変形する恐れもあるので、水中に漬けて乾燥を防ぎます。

ゴミと汚れ

取り除くべき入れ歯の汚れには、食べかす・歯垢・茶しぶ・タバコのヤニなどがあります。 食べかすは水洗いやブラッシング程度で簡単に落ちますが、だからといって入れ歯を付けたままうがいをしてはい完了、で済ませてはいけません。 しっかり掃除しないと取り除けなかった食べカスから雑菌が繁殖しますので、病気や口臭の原因となってしまいますし、汚れが酷くなるほど落とすのも困難になっていくからです。 汚れを溜めないようにするには毎日のお手入れが肝心なのです。汚れをそのまま放置しているとやがて歯垢になります。 これは食べかすが固まって不溶化した状態で、水に浸けた位ではとれません。 ブラシでも簡単には取り除けなく、強力な洗浄剤や薬品で落とすことになるのですが入れ歯を傷める危険もありますので、奥の手です。 歯垢が出来ないよう常に清潔にしておくのが一番なのですが、もしそこまで汚れてしまったのなら歯科医院へ行って対処してもらいましょう。 茶しぶはお茶やコーヒーに含まれる成分(タンニン)が付着して酸化したもので、見た目が汚くなります。 お茶やドリンクを飲まないわけにもいかないので、これを防ぐにはこまめに洗浄をするしかありません。 タバコのヤニも同じようにタールが入れ歯のプラスチックに付着したものです。 どううにも落とせないくらい汚れがついてしまったら、歯医者さんに助けを求めましょう。 でも一番いいのは、自分で毎日入れ歯を洗い汚れを定着させないことです。